2025年の新米シーズン、例年とは違う光景が広がっています。首都圏の老舗米店では「新米が売れない」という声が相次ぎ、シャッターを下ろす米屋まで出ている状況です。高騰する米価、消費者の節約志向、そして小売店の苦悩。今回は、現場の声とデータをもとにその背景を深掘りします。

新米が売れない現状：価格と消費者行動の変化

首都圏の米店店主、中村真一さん（仮名）はこう話します。

実際、店頭に並ぶ新潟県・魚沼産コシヒカリの新米は5キロ5800円、前年産は5キロ4900円。他の古米は5キロ4000円台前半で購入できるため、消費者は割安な古米を選ぶ傾向が強くなっています。

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2025年産 新米の価格動向まとめ

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高値の背景：農家からの買い取り価格の影響

米価高騰の主因は、JAなど集荷業者による農家からの高値買い取りです。田植え前から価格が提示され、販売在庫を確保する目的で高額仕入れが行われました。その結果、小売店は高い卸売価格で仕入れざるを得ず、販売価格にも反映されています。

この「はじめの値づけ」が消費者の購買意欲を冷やし、新米の売れ行き不振につながっているのです。

参考文献として、農林水産省の統計データも米価上昇を裏付けています。農林水産省：米の生産・流通統計

米屋の現場が直面するリスク

新米在庫を抱えるリスクは小売店にとって深刻です。売れ残れば在庫コストが重くのしかかり、場合によっては店を閉める判断を迫られることもあります。中村さんは「売れる見通しのない新米は業務用に回すしかない」と語ります。

さらに、新米の価格高騰は消費者心理にも影響しています。日本経済新聞：米価高騰で消費者心理冷え込むによれば、米の購入を控える家庭が増え、古米の需要が高まる傾向が明確です。

スーパーでも在庫が山積：簡単に値下げできない事情

スーパーでは新米在庫が積み上がっていますが、簡単に値下げできない事情があります。

つまり、スーパーも米屋も価格を下げるのは簡単ではなく、消費者が安価な古米に流れるのは自然な現象です。

米不足から過剰在庫へ：需給の変化がもたらす影響

ここ数年の慢性的な米不足の不安から、農家・集荷業者・小売店は「売れ残りよりも高値確保」を優先しました。その結果、需給バランスは逆転。新米が余る現象が生まれています。これは消費者、店舗、農家すべてに影響する深刻な問題です。

消費者心理としては「少し高くても安全な米を買いたい」が、価格が高すぎれば購買意欲は減退。小売店としては利益確保と在庫リスクの板挟みになっています。

農林水産省の報告書によると、2025年度の米の生産量は前年並みながら、価格は前年比15％増となっています。農林水産省：米生産・価格動向レポート

まとめ：消費者と米屋の悩みは続く

新米高騰は農家の利益確保と消費者の購買行動のせめぎ合いが原因であり、米屋・スーパーにとっても悩ましい問題です。在庫は山積みでも、値下げは容易ではなく、販売戦略を見直す必要があります。

最終的には、消費者が価格に納得できるかどうか、そして小売店がリスクをどう管理するかが今後の鍵です。

• AERA DIGITAL：【コメ問題】なぜここまで値上がりしたのか
• 農林水産省：米の生産・流通統計
• 日本経済新聞：米価高騰で消費者心理冷え込む
• 農林水産省：米生産・価格動向レポート