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ロサンゼルス・ドジャースの山本由伸投手が、MLBのナ・リーグ サイ・ヤング賞最終候補に選ばれた。メジャー2年目で防御率2.49、201奪三振という堂々たる成績。しかし、注目すべきは「ワールドシリーズでの圧巻の投球が評価対象外」という点だ。
なぜポストシーズン(プレーオフ)での活躍は考慮されないのか?この記事では、MLBの選考制度の仕組み、そして山本由伸の“真の評価”に迫る。
■ サイ・ヤング賞とは?~MLB最高投手の称号
まずは基本からおさらいしよう。サイ・ヤング賞(Cy Young Award)は、米大リーグ機構(MLB)が各リーグで最も優れた投手に与える年間賞だ。アメリカ野球記者協会(BBWAA)の会員による投票で決定される。
注目すべきポイントは、「投票がレギュラーシーズン終了時点で締め切られている」ということ。つまり、プレーオフやワールドシリーズの結果は一切反映されないのだ。
・対象期間:レギュラーシーズンのみ
・投票者:BBWAA(全米野球記者協会)メンバー
・投票時期:シーズン終了直後(ポストシーズン前)
・発表日:例年11月中旬
このため、たとえワールドシリーズで3勝を挙げ、防御率1.02という「伝説級の投球」を見せても、それは「別の評価軸」であり、サイ・ヤング賞の選考には関係しないのだ。
■ 山本由伸の成績と比較候補:数字でみる激戦区
今季の山本は、12勝8敗・防御率2.49・201奪三振という堂々たる数字を残した。特筆すべきは、30試合で173回2/3を投げ抜いた安定感。移籍2年目でこの数字を叩き出すのは驚異的だ。
対抗馬とされるのが、ポール・スキーンズ(パイレーツ)とレンジャー・スアレス(フィリーズ)。
| 選手名 | チーム | 試合数 | 投球回 | 防御率 | 勝敗 | 奪三振 | 
|---|---|---|---|---|---|---|
| 山本由伸 | ドジャース | 30 | 173.2 | 2.49 | 12-8 | 201 | 
| スキーンズ | パイレーツ | 32 | 187.2 | 1.97 | 10-10 | 216 | 
| スアレス | フィリーズ | 32 | 202.0 | 2.50 | 13-5 | 212 | 
スキーンズが防御率・奪三振でリードしており、最有力候補とされている。一方、勝敗面や安定性では山本も十分に肉薄しており、「メジャー2年目のアジア人投手」としては歴史的評価を受けている。
■ 「ポストシーズン成績が反映されない」理由
ではなぜ、ワールドシリーズやプレーオフの成績が無視されるのか? これは、公平性を保つためである。
ポストシーズンに進めるかどうかはチームの力にも大きく左右される。例えば、防御率1点台の投手でも、チームが弱ければプレーオフに出られない。一方で、チームが強ければ、平均的な成績の投手でも多くの試合に出場できる。
つまり、「個人の純粋な実力を評価するためには、シーズンだけを切り取る必要がある」というのがMLBの考え方だ。
■ 日本人投手とサイ・ヤング賞の“高い壁”
山本が最終候補に選ばれたことで、日本人投手として史上4人目の快挙となった。過去に3位以内に入ったのは以下の通り。
- 2013年 ダルビッシュ有(2位)
 - 2013年 岩隈久志(3位)
 - 2020年 ダルビッシュ有(2位)
 - 2020年 前田健太(2位)
 
つまり、今回の山本は、日本人として史上4人目の「TOP3入り候補」という位置づけだ。これはまさに“レジェンド級”の記録である。
特に、今季のドジャースは大谷翔平、フリーマン、ベッツら強力打線を擁し、チームとして2年連続ワールドシリーズ制覇という偉業を達成。その中で山本がエース格として存在感を放ったのは、MLB関係者の間でも「本物のサイ・ヤング級」と評されている。
■ サイ・ヤング賞は「物語」ではなく「数字」の世界
多くのファンは、「あれだけのポストシーズン成績を出したのになぜ?」と疑問を抱くだろう。だが、MLBの賞レースはドラマ性ではなく、あくまで統計に基づく“冷徹な評価”で決まる。
感動やチーム貢献度よりも、ERA(防御率)、WHIP、K/9、投球回数など、数値データがものを言うのだ。
つまり、ワールドシリーズのMVPとサイ・ヤング賞は別次元の評価。前者が「舞台の英雄」なら、後者は「一年を通して最も支配的だった投手」。その違いを理解することで、山本の偉業がより鮮明に見えてくる。
■ まとめ:「ワールドシリーズ成績が反映されない」ことの意味
結局のところ、サイ・ヤング賞は“レギュラーシーズンの真価”を測る賞であり、山本由伸が候補に名を連ねたこと自体がすでに快挙だ。
ワールドシリーズでの活躍は別の文脈で歴史に残る。つまり彼は「数字でも物語でも勝った」稀有な存在になったのである。
11月13日(日本時間)の発表で、もし山本がTOP3入りを果たせば、日本球界にとって再び“誇りの日”となるだろう。
  
  
  
  


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